ニュースを分かりやすく解説することに定評がある池上彰さん。日本生命が地域限定、完全クローズドで開催した池上彰さんのオンラインセミナーを受講する機会があり、とても感銘を受けたので、その内容を公開いたします!
本当にためになるセミナーで、一言一句逃すまいとメモを取ったのですが、とっても長くなりそうなので、初めの30分を記事にします!
向学心の高い人が大好き。この人も
池上彰、スペシャルオンラインセミナーの概要
こちらのセミナーは「池上彰と考える人生100年時代と私たちの“みらい”」と銘打ったもので、
緊急事態宣言下の中、私たちはどのように生活をしていけばよいのかという指標を得られる今だからこそ学ぶべき貴重な内容でした。
御年70歳になる池上さんの、「ザ・池上イズム」というべき70歳になってもなお、学び続け、その知識を各世代に伝えたいという姿勢をみせていただき、多くの人と共有したいと思ってブログ記事にさせていただきました!
池上彰、コロナに関する見解
2019年末、突如中国の武漢で見つかった新型コロナウィルス。
鳥インフルエンザやSARSなどのように突如現れて、いつの間にか消えるものかと高をくくっていたのもつかの間、瞬く間に世界中で猛威を振るうウィルスとして人々の生活に多くの変化をもたらしました。
未知のウィルスが拡大すると、人々は不安な思いに駆られてしまい、ちょうどその時出た新しい技術に結び付けてとんでもないデマ情報が広がりやすいそうです。
去年の春から夏にかけて、イギリスやアメリカで5Gの中継所が焼き討ちに会いました。
それは5Gの電波に乗ってウィルスが拡散する、もしくは5Gの電波で人間の免疫が弱くなって、それで感染しやすくなるというデマによるものだったそう。これはコロナウィルスが中国から広まったもので、その中国には5Gの最先端の技術を持つファーウェイ社があるからという、なんとなくもっともらしいような。。。デマからだったそう。
こうして記事にしてみるとアホらしいようですが、焼き討ちをするような人たちは真剣そのものだったんでしょうね。でも迷惑な話ですよね。。。
日本でも同じようなちょっと恥ずかしい過去があったようで。。。
コレラで3万5千人が死んだ明治23年、この年は東京横浜間に電話線が引かれた年だったそうです。
ということで、やっぱり同じく「電話線を伝わってコレラが拡大する」というデマが広まったそうな。。。もちろん、コレラは昔の汚染された食べ物や水によって引き起こされたので、原因がわかれば、これがおかしなデマだということがわかります。
さらに、池上さんの元にSNSを通じて「36℃のお湯を飲むと良い」(もしくは37℃バージョンもあったそう)という、おそらく教えてくれた人は親切心から。。。の情報が入ってきたそうで。。。
「私たちの体温を考えたら、ウィルスが体に着いたとたん死滅するでしょう」と冷静な池上さん。
また、ウィルスというものは気管支から肺に侵入するものなので、気管支や肺にお湯を入れるわけにもいかないわけで。
私たちはどうしても未知のものと遭遇すると冷静な判断が出来なくなりやすいんですね。
コロナ禍というのは、一億総パニック状態で、一部の冷静な人の言葉にも耳を傾けにくいものなのだな。と。
ですので、ちょっと待てよ、と立ち止まって考えるということが大切なのだそうです。
池上彰、コロナ禍で私たちはどう生きるか
去年、緊急事態宣言で学校も休み、仕事もリモートになるなど私たちの生活には避けようのない変化が生まれました。
今もなお、一都三県は延長が続いて緊急事態宣言下にあります。
でも去年、私たちにとって初めてとなる緊急事態宣言中は今よりもっと制限が多かったので、家に閉じこもりきりだったという人も多かったのでは。
さてその間いったいどういった時間を過ごしたのでしょうか。と池上さんは問います。
人生100年時代、とりわけ会社をリタイアした後も長い時間があるわけです。
そのような時こそ、改めて「勉強する」という貴重な時間を得られた。と考えるべきだということです。
池上さんご自身も、お仕事が次々にキャンセルになってしまったそうで。
そんな中、大学のお仕事だけはリモートで続けられていたそうです。
そのリモートの授業の準備で1ヶ月スタートが遅れ5月からになったそうですが、
池上さんが受け持つ授業の中では、首都圏で東京工業大学と立教大学で
各週100分の授業をリモートでされました。
名古屋でも、2つの大学では、あらかじめ教材を準備したものを
学生がダウンロードして意見・感想を寄せたものに池上さんが答えるという形が取られたそうです。
なかなか画期的で、むしろ実際の教室で行われる授業より能動的かもしれないと思えました。
東京工業大学や立教大学ではZoomを用いた授業を行い、そうなると
全ての学生の顔がスクロールすることで常に観ることが出来るそうです。
すると、マクドナルドのカウンターで無料のWi-Fiを使用することで通信料を節約している学生の姿
また、大あくびをしている学生を見て、自分の授業が退屈なのだろうかと傷ついたりと。。。あるようで。。。
テレビに出ている池上さんの授業ということで、おそらくどの大学でも大教室を使って大勢の学生が受講していることだったのでしょうが
大教室よりも、お互いの顔のアップが見れてしまう!といったようですね。
更には、どうやら他の人間の気配がする学生さんもチラホラ。。。
後で確認すると、家族の人も一緒に聴いていたとのことで。
学生以外の家族も観ているということで、教授側もプレッシャーになって
いい授業をしなければという刺激になったり
チャット機能で多くの質問に答えたり、と
教室出来た方がいいにしても、リモートならリモートなりのよさがあったことが発見されました。
このような状況下で、様々な不便があったなかでも
それはそれで、うまく使えば、新しい展開というものがあるということを改めて考えられました。
仕事にしても、否が応でもリモートで行ってなんとかなることがわかったり。とのことから
このような状況下で、来るべき「未来」が突然やってきたと考えられるとのこと。
在宅勤務にしても、これまで取り入れるべきだとの話は再三ありました。
例えば介護離職。
または、出産育児でキャリアを中断しなくとも
家で子育てをしながら在宅勤務が出来るのではないか。と。
それはもちろん大変なことだとの理解は池上さんは分かっていらっしゃいますが、
キャリアを完全ストップさせ
再スタートが厳しくなってしまうよりは私もその方がいいような気がします。
これまでもリモートワークを取り入れるべきという動きは何年も前からあったものの
中々進んでいなかったところに、
今回強いられる形でスタートさせたところ、「結構出来ちゃった」という会社も多かった。
しかしその一方で。。。
池上彰、コロナ禍で露見した日本のデジタル化の大きな後れ
デジタルがいかに進んでいないのか。ということが明らかになったのです。
今回リモートで会社に行けない、なのに会社に行かなければならない。
このような人たちに理由を尋ねたところ、
「ハンコをもらわなければいけない」との回答が得られたのです。
安倍政権の2013年、2020年に向けての方針というものを打ち出し
「日本は2020年までにIT先進国になる」と宣言しました。
しかしその時のIT担当大臣が、ハンコ議員連盟の会長だったとのこと。
日本独自の文化を守るべき、との意識が
結果「ハンコを貰うために会社に行かなければならない」といった社員を作り
デジタル化を進める邪魔となり、結果2020年までに。との方針は実現しなかった。
同じようなことに、コロナは「指定感染症」となったことで
病院にとって保健所に報告をしなければならない病気になりました。
ですので、お医者様は感染者が出ると
“A4の紙に19項目を手書きで書いてFAXで提出”
忙しいのに、こんなことをやらなければならない。
「これではまるで昭和だよ。」とTwitterでつぶやき、
さすがにオンラインでいいということになったという経緯が
ニューヨークタイムス紙に記事にされてしまったのです。
「先進国の日本、やっとFAXからさようなら」
完全におちょくられた記事。
こうして強いられる形で遅々として進まなかったデジタル化を進めることで
未来を見ているのだ、と考えようと池上さんはいいますが。
実際のところ、現場ではまだまだオンライン化は進んでいないのです。
お役所仕事では、まだ電子印鑑もオンライン提出も認められず
ハンコ出社に本来の業務を削って自ら足を運んで提出。という業界も多数のはず。
FAX以下。という現状は続いているわけです。
2020年に宣言された「IT先進国」とやらに日本がなる時。そんな日は遠い気がします。。。
お医者さんだって次々増える感染者に強いられる形でやっとFAX脱出したわけですから。。。
池上彰、未来から現在を見てみる。とは。
未来から現在を見る。という視点。
2050年の歴史の教科書にどう書かれるか。という視点を持つこと。
例えば、
「2020年、新型コロナウィルスの感染拡大のため、日本及び世界は大混乱となった。」
ここまでは間違いなく記述される事実。
「これをキッカケにデジタル化が急激に進み、働き方あるいは暮らし方が大きく変わり、その後の経済発展の弾みとなった。」と書かれるか、その境目にあるのが現在。
あるいは「新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、私たちの暮らし方は大きく変わり、一段と健康に配慮した暮らし方が進むようになった」という風に
歴史の教科書に書かれように考えながら生きていくこと。それが必要なのではないかとのことです。
歴史というものは誰かが勝手に作ってくれるものなのではなく、私たちが主体となって作っていくわけです。
私たちが歴史を作るんだ。という視点、考え方を持つべきなのだということです。。
池上彰、歴史からひも解く新型ウィルスと技術革新
その、私たちが歴史を作っていくんだ、変えていくんだ。と考えた時に実は役に立つのが
「過去に学ぶ」ことです。
これまでも感染症の拡大によって、世界の歴史が大きく変わってきたからです。
例えば、14世紀のヨーロッパ。
ペストの感染が拡大。その当時ヨーロッパの人口はざっと3億人いたと言われていますが
なんと3分の1の1億人が亡くなったと推定されているそう。
そしてその埋葬が1人1人では追いつかないので、集団埋葬となり
といっても大きな穴を掘って投げ込む。という処理をせざるを得ず
各地にその集団埋葬をした跡地があるそうです。
ウィーンの中心部にあるシュテファン大聖堂は観光客に開放されていますが
その地下には、ガラス越しに集団埋葬された遺骨の数々が見られるようで。
ちょっと恐ろしいような感覚はありますが
ペストによって大勢の人が亡くなった事実を忘れないようにしようという気持ちが形になっているそうです。
そのような集団埋葬された遺骨から、ペスト菌の遺伝子を採取することに成功。
14世紀、中国の雲南省でもペストが流行し、その中国のペスト菌とヨーロッパのペスト菌の遺伝子が一致。
14世紀のペストは、(コロナと同じように)中国からヨーロッパへ広がったことが判明。
そのルートは?
シルクロード。
当時のシルクロードで様々なものが運ばれていましたが、その中の絹などにペスト菌がついていた。
ネズミやノミに取りつく菌であるペストですので、そのネズミやノミも一緒に運ばれた。
今回のコロナについても、去年の3月まずはイタリアで感染爆発が起きました。
その経路は、現代版シルクロードと言われる一帯一路によって中国から運ばれたのです。
その一帯一路を通って、大勢の中国人がイタリアに働きに行っていました。
というのも、イタリアというのはブランドが多く、誰もが知っている有名ブランドもありますが
その多くは家族経営でやっているような小さなブランドだったりします。
そのような小さなブランドを中国が次々と買収し、イタリアに工場を作り、そのブランドを大量生産する。ということをやっていたのです。
ですので、大勢の中国人がイタリアで働いています。
結果的に、過去と同じく現代版シルクロードで、ヨーロッパにコロナが拡大したという事実がわかるわけです。
14世紀のグローバル化はシルクロードだった。
そして現代のグローバル化、グローバル経済というのは、一帯一路という現代版シルクロードによって一挙に進んでいく。
そして感染症もまた然り。というわけなんだそうです。
明治23年に流行したコレラもそうです。
日本は江戸時代、鎖国のような状態を続けてきたわけですので、コレラの流行というようなものはなかったのです。
江戸時代の終わりに、ペリーが率いる黒船がやってきて、その黒船の乗組員によってコレラ菌が持ち込まれたのです。
黒船は大西洋をぐるっとアジアを回ってやってきたため、その途中で乗組員がこれらに感染していた。
これによって江戸の終わりからコレラが広がっていき、それから断続的に広がっていったということ。
黒船が来たことによって、日本は開国し、発展していった。
これこそが、当時のグローバル化であり、それによって感染症も広がっていったのです。
コレラ、という病原体はそもそもインドの風土病であり、限られたところにあるものでした。
大英帝国がインドを植民地にしたことによって、この風土病が大英帝国全体に広がっていったのです。
大英帝国は多くの植民地を抱えていたことにより、世界中にこのコレラという風土病が広がっていったという歴史があるのです。
以上、ここまでが池上さんのセミナーの前半30分の内容です。
後半については、また検討しますが、本当に歴史は繰り返される。
正直、歴史、社会に疎かった私ですが、本当に歴史に学ぶことは多い。と気づかされました。
語り口、そして、学ぶ姿勢、今回のセミナーでこちらも学ぶべきことは本当に多かったです!